不動産専門税理士の得するよもやま話 No.20 ~税理士・行政書士・宅地建物取引士~

 <私の失敗談>

  今では税理士業と不動産賃貸業で大成功を納めたと言って下さるようになった私も、思い返すと数々の失敗の歴史があり、自戒の念と皆様の参考になるかと思い、恥ずかしいのですが失敗談を披露致します。

  

一、株式・商品相場・FX・外貨預金

 

 ① 株式相場は20才で上京した私にとってはあこがれの1つでした。そば屋さんで住み込みアルバイトをして貯めたお金約200万円を元手に低位株投資をしました。

   最初は勉強をしたのが奏を功し、結構儲けました。これに味をしめて「10倍融資」の投資会社の罠にはまり、儲かってい

  たのに保証金の全財産を倒産持ち逃げされるハメに陥りました。

   ITバブルの頃(2000年頃)には投資額8,000万円が2億3,000万円までなり2億8000万円(2億円の儲

  け)になれば、全て株を売ってアパートマンション1棟投資をすることに決めていたのですが、ITバブル崩壊により、

  あれよあれよと5,000万円になってしまいました。(つまり、ピークからは1億8,000万円の損)

   結局、意地で5,000万円のマンション(セドルハイム西川口)を買いました。

   思い返すとこれが不動産投資への一極集中の始まりでした。

 

 ② 商品相場は25才くらいから営業の人の電話から始まって結構損しましたね。

  おそらく、株でやられた投資顧問会社から名簿が流出していたのでしょうね。

   金・銀・白金・粗糖・ゴム・小豆・乾繭・生糸・原油・石油までほとんどの商品をやり尽くしましたね。売りも買いもでき

  るので資金の10倍、いやぁスリル満点でした。

   株の信用取引は3.3倍ですから、反対にブレればすぐに証拠金不足、すなわち“追証”になります。翌朝までに入金しな

  いと待ったなしに切られてしまいます。度胸と思い切り決断の良さはこれで身につけられたのかもしれません(笑)

  支払った授業料はおそらく8,000万円ぐらいはつくでしょう。

 

 ③ FXは40代くらいでやりましたね。携帯で手数料が安く、少単位からいつでもできるのが魅力的でした。証拠金の30倍でできるのもびっくりでした。円ドルから入って、オーストラリア、ニュージーランド、ユーロ、ポンド、スイスフランまで、私の悪いところは戦々を拡大してしまうことと、やり始めるとトコトンやってしまうことです。

   売りと買いを同時に行う両建て作戦を実行しましたが結局は相場には勝てませんでした。自分に勝てないのかもしれません

  ね。損切りがすぐにできない人は成功しませんね(トホホ)

 

 ④ 外貨預金は50代に入ってから銀行のつきあいで始めましたが、ドル高も予想していたのでドル預金なら小遣い稼ぎぐらいになるだろうとう決め込んで1,000万円程つきあいましたが、それ以後の円高で塩漬けです。1ドル100円くらいでナンピン買いを入れましたが、果たしてどうなるか?長期戦覚悟です。

   株をはじめ、相場は向き不向きがあります。私はどうしても短期戦は向いていません。自分がかわいくて、損切りできない

  からです。結局、大損をして初めて損切りをしている歴史を繰り返してきました。でも、仕事にも家計にも迷惑をかけずに

  やってこられたのはやはり、税理士という仕事が天職であり、素晴らしいお客様、職員、そして大切な家族のおかげでしょ

  う

  

二、貸付け

   私の場合、人情深いところがあり、人から借金を頼まれてしまうと引き受けてしまうところが若い頃からありました。不動

  産仲介業のA社の社長は私の前の自宅の仲介者でもあり、当事務所の顧問先でもあることから、運転資金の貸付で1,000

  万円、一緒に土地を買うという名目で3,000万円と合計4,000万円も貸す羽目になりました。私が37才の頃です。

  4,000万円のうち、2,500万円は私の高校の後輩に宝くじで7,000万円当たった者がおり、彼から借りたもので

  した。年利3%の利息をつけることにして、結局、A社は土地も購入せず、倒産状態になり、社長はへらへらと笑って逃げる

  始末、要するにペテン師にひっかかったのです。

   この社長はいわゆる“いい恰好しい”でした。もらった小切手も不渡りで腹立たしい限りですが、私はこの社長と絶縁しま

  した。今後、付き合う価値がない男だからです。せめても幸いしたのは私の会社で貸していた為に後で貸倒損失で落とし少

  しは税金でカバーしました。女房にはだから言ったでしょ。貸すのはやめておいた方がいいってと今だに時折、言われるハメ

  になりました。勿論、後輩には利息をつけて全額返しましたよ。

 

三、一緒にビジネスを始めたのですが

   私が40代の頃、女房のつきあいでクリーニング店に毎週土曜日か月曜日、車で行っていました。そこで感じたのは、ク

  リーニング店は駐車場がない、店員が少ない為、時間がかかる。料金が高いということでした。Yシャツで1枚150円くら

  い。毎月では結構な金額になります。

   これを解消できれば商機があると思い、顧問先で新鋭のクリーニング店の社長に相談すると、最新の機械を導入して見える

  工場兼クリーニング店にすれば、実現できるという回答を得ました。程なく店舗工場が見つかり、500万円程の店舗取得費

  を支払いました。共同経営ということで、2人で有限会社を設立し、経営面と資金面は私が担当し、業務面を社長が担当す

  ることになりました。

   新しい機械が2台で2,000万円、合計2,500万円を私と社長が連帯保証人になり、なんとか開店にこぎつけまし

  た。店の名前はフレンズです。開店当初はワクワクしたことを覚えています。ところがです、最新鋭の機械を動かす人がいな

  いのです。1日3,000枚できる予定が1日500枚が限界です。しかも、ほどなく売上金が報告されず、入金がなくなりま

  した。社長に連絡しても電話に出ません。いきなり、行っても居留守です。しかも、従業員に私の悪口を言って、自分では一

  切の給料の支払いをしません。私は3か月分の給料を自腹で支払い、機械のリース料を立替えました。

   そして、がくぜんとしたことは、この社長が最新鋭の機械を操るどころか、今まで自分がやっていた店舗は手洗いをしてい

  たというのです。私はまんまとハメられたのです。おそらく、機械の会社からバックマージンをもらい、売上金は着服し、一

  切の支払いを押しつけるという卑劣な罠です。私は逃げた社長を話し合いの場を仲介者を介して、ようやく作りました。

  口が曲がった社長は一言も謝らず、弟が自分の店からお金を持ち逃げしてお金を払えないということでした。私はこの男とも

  縁を切りました。全てで3,000万円位の損失を出しました。2人で作った会社は有限会社フレンズ、この赤字を活用し、

  不動産賃貸管理会社として、立派な会社にしています。

  

四、裁判で負けました。

  1.スナックが2店舗入っている地下1階、5階建てのビルを1棟買いました。私が努力すれば、パブスナックで満室にで

    きる自信がありました。売主は狸のような人でした。 

    ほどなくして、満室になりました。ところが市役所から電話があり、この建物が建築基準法に違反しているというので

    す。

    建築士に調べてもらい、私も勉強したところ、エレベーター、ビル内階段の他に、外階段がないといけないビルだという

    のです。

     用途が居酒屋ならいいのですがスナックは風俗営業だからダメなのです。

     私は売主が示した何業も可というチラシを思い出しました。スナックで貸すことは買う時に明言していましたし、売主

    も同意していました。私は売主に内容証明郵便で損害賠償すれば良し、しなければ裁判するという意思をぶつけました。

    何の返事もない為、やむなく裁判を起こしました。

    それから1年半、出た結論は売主に責任なしでした。売主が裁判所で私に対して、誹謗中傷の発言をしたにもかかわらず

    です。

    その後、このビルは売却しました。私の手腕で満室で売却したので高く売れました。

    勿論、重要事項である建築基準法の問題を買主に明記して説明してのことです。正々堂々が一番です。

 

  2.顧問料の支払いを拒む会社を少額訴訟で訴えました。

    飲食店を営む会社が当事務所に頼んだ覚えがないということで支払いを拒否しました。再三の催促にも関わらず、支払

    わないので少額訴訟をやってみました。

    金額は約25万円で、弁護士を依頼する程のことはないと思ったからです。自分で訴状を書いて提出しました。第一回目

    の公判の日、行ってみると相手被告側は弁護士を依頼していました。弁護士に支払うお金があるのなら、当事務所に

    10万円でも払ってと正直思い、相手方弁護士に言いました。

    当方も弁護士を依頼するハメになりました。結局、この裁判は2年近くかかり、当事務所が勝ちましたが、相手方会社は

    倒産し回収は0、弁護士費用は15万円くらい要しました。踏んだり蹴ったりです・腹が立っても裁判はやらない方が結

    局、得なようです。

  

五、ネイルサロンのお店をやりました。

   顧問先の社長がやっているネイルサロンが不振の為、閉店するというので私のグループ会社で経営を引き継ぐことにしまし

  た。やり方次第で利益が出せると思ったからです。内装とパンフレットに少しお金をかけて、人材も補強して、やってみまし

  たが、社会保険の負担とともに人件費と家賃がかかる割に売上が伸びず、とうとう2年でギブアップしました。1,000万

  円以上の損失でした。

   不特定多数のお客様を相手にする商売は難しいですね。税理士業は特定多数です。不動産賃貸業には貸す物がはっきりと

  しています。共に最強のビジネスであることを際立たせてくれました。でもこの経験は多くの経営者の悩みを共感できる解決

  策を提案できることにつながる貴重な経験にしたいと思います。

  

 いかがでしたか?私も相当失敗しているでしょう。金額にすると約2億円です。

 女房に言わせると「居酒屋に家族4人で何回行けたか」となります。全く、その通りです。でも、私は“成功の裏には必ず失敗あり”と言い返します。

 まあ、今の自分があるのは、失敗のときも、めげずに逃げ出さずに上手に撤退したからでしょう。「同じ轍は二度と踏まない」

私の心の教訓です。